浅はかは無知よりも罪
とある会社の社長と個人的に酒を酌み交わした。 普段は明るく駄洒落が最低にいただけなく年の割には可愛げのあるお方である。そんな人間味溢れる方にもエアポケットのような時間がある。そういう場に居合わせた拙僧は幸せである。
「和尚さんね。社長なんてのは新入社員の下に居る存在なんだよね。おれが社長と言えば社員は好きにしろとハネてしまうものなんだ、
部下のお伺いをたてるのが社長の務めなんだ。
その代わりね社外の責任は全て社長が解決しなきゃだめなんだよ、100%
だよ。絶対に解決。 それが唯一社長の存在意義
なんだ。それ以外は家で寝ててもいいんだよ。メリハリの世界なんだよ」 そして彼は続ける「独立のメリットは何と言っても
自由
に尽きる。 勘違いしてはいけないんだけどお店が暇なのも忙しくなるのも自由
なんだよ。また逆に考えればお客さんが付き合いをしない自由
もあるわけで従業員がイメージするような世界はそこには無いんだよなぁ。社長のメリットなんてさぁ敢えて言うなら
フッとした瞬間
、
時間に囚われない自分を見つけた時
、
出社、退社など割と融通が利くと感じた時
、
決定権を自分で持っているので仕事がスムーズに進む時
くらいだよ。 それと
キャバクラ で煽てられて気分が高揚する時くらいなもんさ。
実際には何度も自問自答して俺は間違っているか?何か見落としは無いか?常に反対からモノを見る事を心がけ、人の真意を探る努力をする。本能で察知しないと他人には警戒心を与えるだけだからさ♪でもね。人間が絡んで仕事が発生する訳だからさ太陽に背を向けたらダメって事よ。太陽の反対は月じゃないんだよなぁ、人生ってさ
」 やや泥酔している感は否めないが言葉が重かった。自分だったらここまで理路整然と言えるかな?と思った。
インターネットの業界が急激にクローズアップされ 若社長 がマスコミに登場するたびに自論を展開する。
それはそれで身の詰まった内容で共感することも間間あるが、皆一様にお金と仕事に起因する話が多く、儲かるには、お金とは、これからの社会構成とはといった話に終始しているような気がする。
この社長はカリスマもあり部下からの信頼も厚く、時に部下から
「だからダメですよ、中にはいっちゃぁ、外で接客お願いしますよ」
と怒られていたりする。全く以って笑いのツボが捻じ曲がっており駄洒落なのかすら分からんギャグを放って場から去る姿は客から見ても滑稽だし微笑ましい。
そんな社長からは創造もつかない内容の話。会社を思う様は皆同じだと思うがそこに行き着く過程はそれぞれ個性があり決して一様ではない。
壮大な構想を実現化していく若い力も尊敬であり1つの答えである。多くのメリットと顧客満足を提供するのだろう。
ただこんな時代で飲食店を廻すのは楽では無いと思うが決して悲観せず人間と環境を最大限磨いている同席した酔っ払い社長の会社は大きくならないかも知れないけどつぶれもしないし物凄く光って見えた。
今後の方向性なんて仰々しく語らなくても向かっている方向とイメージが創造できた。
和尚の自論を言いたかったが何を言ってもおそらくこの社長には何一つ打ち響かないであろう事は空気の読めないなまくら僧にも理解できた。「そんなに大変だったら辞めたいとか思ったこととかありませんか?」
何度も言い掛けたけど、余りに安っぽくその辺の娑婆僧の相槌みたいな言葉ような気がして口から発せられなかった。他にも思いつくが全てがこんな感じ。 ただおとなしく話を聞くしか出来なかった。グラスの氷が カラン と言う度になんか下唇を噛みたくなった









